怪力の外国人との練習相手を頼まれた。怪力という情報は事前に与えられず、初心者ということだけ本人の申告で知った。とりあえず様子見として引き込んで怪力に気付いた。一旦は返して緩く抑え込み、どれくらい逃げられるかを見てみた。20秒ほどで逃げられ、また下になった。上から足も越えずに袖を掴んでくるという荒っぽい攻めをしてくるが、これが強力でなかなか切れない。しかも体力も尽きてきて反撃する余力がなくなり、足だけ越させないようにした。正対で凌ぐのも労力がいるので、もはや胴絡みで寝ているだけである。相手は足も越えないまま袖に執着して関節を取ろうとするが、さすがに無理がある。この乱取りの有様で舐められたようで、どうも取れなかったことに納得がいかないようだ。還暦間近の小さい爺さんなので舐められても仕方ないか。乱取りの後、彼は2年生に胴絡みの外し方を教わっていた。外すときは袖を離さざるを得ないが、そうすればさっさと正対に戻すので、実際には外す技も出番がない。力を封じる技術を見せたいところであるが、寝技は脚力が腕力に勝ることを前提としていて、脚力に勝る腕力には対抗が難しいのである。高専柔道の教えでは、腕より足、足より頭を使えと言う。また乱取りをする機会に備えて何か対策を考えておかないとな。
体力と技術
