膝を突くか突かないか

指の剥離骨折の回復が遅く、まだ練習に復帰できないでいる。1度目の診察でレントゲン写真を見て剥離骨折と診断された。2度目の診察で前回のレントゲン写真を再度見て、かなり古い骨折に見えるという。どうやら古傷が元で傷んだようだ。

大学に行く用事があったので、道場にも寄ってみた。ありがたいことに古い京大OBが技術解説をしてくれていた。テーマは下からの返しだった。右組の場合だが、左ひざに右足首を掛け、跳ね上げて返すという技があった。左膝を畳に突いてさえいれば防げるから、このような単純な技はかからないという。私としてはこの点には異論がある。それはお互い様だと思うし、技術体系の違いだろう。私世代の名大は蹲踞を守りの基本にして十分機能している。膝突きには否定的だけど、だからといって攻略できているとは限らない。

名大では上の基本姿勢は蹲踞というのが揺るぎなかった。他大学では膝を突く選手もいたが、それは技術の伝承ができていないだけと思っていた。名大もかなり前から寝技の基本はできなくなっている。たまたま京大のOBと七大戦を観戦していた。試合を見て彼は「三点支持が基本だろうが」と興奮して言った。「おまえら膝突くの?」と思わず聞いてしまった。膝を突くと、蹴られて潰れる危険性がある、下がられた時についていけないの2点で問題があるというのが私の理解である。彼らには彼らの理念があって、蹲踞の方が問題らしい。蹲踞は高専柔道における基本姿勢というのは私の思い込みであって、蹲踞は四高のスタイルに過ぎず、むしろ片膝を突く方が主流派なのかもしれない。私が世話になっていた柔術の道場でも蹲踞には否定的だった。しかし柔術の動画を探すと、コンバットベースという名称で評価されているようだ。私は蹲踞しかするつもりはないが、実力差が大きくない限りそうそう返されることはない。そのためには、相手との位置取り、膝の位置取り、左肘で相手の右膝を制限するなど、様々な駆け引きを行っている。一方で、膝を突く上級者を攻略するのも容易でない。技術としてはお互いに認めざるを得ないところだろう。